・+ 雪 +・
昔は背中に翼があって 僕は自由に飛べたはずだった
いつの間に失くしてしまったのかさえ よくは覚えていないけれど
天使だったあの頃 僕はとても幸せだったはずなんだ
天使だった記憶さえ 今はもうほとんど忘れてしまった
ねえ 君 その背中の白い羽根は いつかどこかで僕が落として
君は偶然 それを拾っただけじゃないのかな
優しい微笑みを浮かべたまま
音もなく ふわり と 君は空へ舞い上がる
ねえ 君 僕がまだ翼を失くしてなければ 君と一緒に行けただろうか
僕が降りてきた場所は遠く もう僕は還れない
だから神様 降りてきて どうか 僕を迎えにきてください
このままじゃ 僕は還れない 誰か僕に翼をかえして
神様は返事の代わりに ふわり と ひとつ 雪を落とした
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