・+ 雨 +・

ぱたり ぱたり 道路に 屋根に
空を見上げた私の上に 冷たい雫の 落ちる音

突然 泣き出した空 どこかで天使が泣いている
恐らく 誰かが地上に落ちて うっかり帰れなくなったりしたのだろう

貴方の髪を濡らした涙は 今頃になって 私を傘に閉じ込める

私は 溜め息をついて

泣き虫な神様の子供達と 彼らにつられて泣き出した
生まれたばかりの幼い空を見上げ

街中に涙を降らせながら この悲しみが通り過ぎて行くのを待つ

目の前のアスファルトの道を
完成したばかりの水溜まりを踏み散らして
傷つきやすい天使の一人が 足音高く駆け抜けていく

きっと貴方も 部屋の窓から 愛らしい彼等を眺めているのだろう

そして いつものように微笑みを浮かべて

どうしたらいいか わからなくなった天使が 途方に暮れてドアを叩くのを
優しく諭して 空に帰しているのだろう

雲のハンカチが頬を離れた

空に再び 薄く陽が射す

どうやら貴方が 泣きじゃくる天使の最後の一人を
無事に空へと帰したらしい

無用になった傘を回して 私は再び歩き出す

天使が叩いたドアの向こうで 貴方が私を待っているから







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